その甘いもの、本当に「やめられない」?“砂糖依存”と向き合う5つのヒント
砂糖を「やめたいのにやめられない」その理由
「甘いものを控えたいけれど、つい手が伸びてしまう」
「一口だけのつもりが、気づけばひと袋完食していた」
そんな経験はありませんか?
近年、このような状況に対して「砂糖依存(sugar addiction)」という言葉が使われるようになっています。ただしこの言葉は、医学的に確立された診断名ではなく、現時点ではDSM-5やWHOの基準にも含まれていません。研究者の間でも議論が続いており、あくまで便宜的な表現です。
それでも、「砂糖をやめたいのにやめられない」という感覚を持つ人が多いのも事実。この記事では、その背景にある身体や心のしくみ、そして付き合い方のヒントを紹介していきます。
なぜやめられないのか?“砂糖依存”のメカニズム
脳の報酬系とドーパミン
動物実験では、砂糖が脳の「報酬系」に作用することが報告されています。砂糖を摂取すると脳内でドーパミンが分泌され、「快」の感覚が得られるというものです。
ドーパミンは俗に「快楽ホルモン」とも呼ばれますが、正確には「快楽そのもの」ではなく、「報酬の予測」や「やる気・モチベーション」に関わる物質とされています。
つまり、「甘いものを食べる=快」が繰り返されることで、無意識のうちに脳が“ご褒美”として学習してしまうのです。
血糖値の“ジェットコースター”がクセになる?
砂糖の摂取後、血糖値が急上昇し、その後インスリンの働きで急降下することで、相対的な低血糖状態となり、再び空腹感やイライラが生まれやすくなるといわれています。
このサイクルが何度も繰り返されると、「甘いものがやめられない」状態に陥ることもあります。
※ここで言う「低血糖」は病的なものではなく、「相対的に下がったことで感じる症状」を指します。
また、こうした血糖の変動は睡眠不足やストレス、栄養バランスなど、他の要因も関与するため、「砂糖だけが原因」と断定するのは正確ではありません。
砂糖を摂りすぎると、どんな影響がある?
太りやすくなる・内臓脂肪の増加
砂糖を含む清涼飲料水やお菓子の過剰摂取は、体重増加や内臓脂肪の蓄積と関連しているとする研究があります。
特に甘い飲み物は「噛まずに摂れる」ことで満腹感を得にくく、エネルギー過多になりやすいとされています。
とはいえ、体重や体脂肪の増加は総エネルギー摂取量・活動量・体質・ホルモンバランスなど複数の要因が影響するため、単純に「砂糖=太る」と断定することはできません。
肌トラブルや老化(糖化)
糖質を過剰に摂ると、体内でAGEs(終末糖化産物)と呼ばれる物質が増加し、肌のくすみ・ハリの低下・しわなどの老化現象と関連するといわれています。
ただし、肌への影響には紫外線・睡眠・喫煙・スキンケア習慣など多くの要因が関係していることを忘れてはいけません。
疲れやすさ・気分の波
血糖値の急降下により、「だるさ」「眠気」「気分のムラ」が起こると感じる方もいます。
しかしこれも、睡眠不足やストレス、栄養不足など、砂糖以外の要因も関係しているため、「疲れ=砂糖のせい」とは限りません。
「やめる」より「整える」5つのステップ
ステップ①:朝食とタンパク質+食物繊維
朝食をしっかり摂った方が良いかどうかは研究によって分かれますが、タンパク質や食物繊維を含む食事は、血糖値の安定に役立ちやすいとされています。
・卵、納豆、ヨーグルト、鶏むね肉、豆腐などのたんぱく質
・玄米、オートミール、全粒パン、野菜や海藻などの食物繊維
これらを組み合わせた食事が、「甘いものを欲しにくい体」への一歩になるかもしれません。
ステップ②:比較的血糖値が上がりにくいおやつを選ぶ
・ナッツ類
・ゆで卵
・高カカオチョコ(※糖質量に注意)
・ヨーグルト(加糖タイプは避ける)
・ドライフルーツ(※少量にとどめる)
「ヘルシー」とされる食品でも、量や糖質量によっては過剰摂取につながる可能性があります。
特にドライフルーツは糖質が高く、高カカオチョコも商品によって砂糖量が大きく異なるため、原材料や糖質量を確認しながら選ぶとよいでしょう。
ステップ③:甘くない“快”を取り入れる
甘いもので得ていた「癒し」や「ホッとする感覚」を、他の方法に置き換えてみましょう。
・好きな香りのアロマ
・軽いストレッチやウォーキング
・心が落ち着く音楽を聴く
・お気に入りの雑貨に触れる
こうした「代替の快」を用意する方法は、依存症治療の分野でもよく用いられるアプローチです。
ステップ④:「完璧主義」を手放す
「完全にやめなきゃ」「一口でも食べたらダメ」といった極端なルールは、むしろ反動を招きやすくなります。
「今日はちょっと多かったな」「次は少し控えてみよう」といった柔軟な視点があることで、長い目で見た改善につながりやすくなります。
ステップ⑤:「敵」ではなく「相棒」として付き合う
砂糖=悪!と決めつけすぎると、過剰な罪悪感やストレスに繋がることも。
適度に甘いものを楽しむことは、心の健康やコミュニケーションにとっても大切な役割を果たす場合があります。
「砂糖をどうやって“減らすか”」よりも、
「自分にとって心地よい量や頻度はどれくらいか?」と考えてみると、自然とバランスが整っていくかもしれません。
まとめ:やめられないのは、あなたのせいじゃない
“砂糖依存”という言葉は、医学的な診断名ではなく、あくまで便宜的な表現です。
甘いものがやめられないと感じるのは、「意志が弱いから」ではなく、脳や血糖のしくみ、生活環境など様々な要因が絡んでいる可能性があります。
だからこそ、「やめなきゃ」と自分を責めるのではなく、
「整える」「選び方を変える」ことから始めてみませんか?
“うまく付き合う力”は、誰でも少しずつ育てていくことができます。

